Wa-luck(ワラック)

2019.9.1
ワーク

チャレンジから逃げない(一流の男になる条件 -vol.2-)

大望青年会一流の男になる条件

(作家・永松茂久)
 
 
 幼稚園に通う6歳の男の子が、10段の跳び箱に挑戦している。それは男の子の頭をはるかに超える高さだ。
 
 男の子は何度もチャレンジするが、跳べる気配がない。普通の大人の感覚なら「無理だろう」と思うはずだ。正直、僕も難しいかなと思った。
 
 失敗を繰り返し、次第に男の子は悔し涙を流しはじめる。しかし先生は彼をスタートラインに戻るように優しく諭す。
 
 実はこの男の子、お母さんの病気療養のために、卒園式を待たずして転園を余儀なくされた子で、その跳び箱の映像の舞台は彼のお別れ会のワンシーンなのだ。
 
 そこにかけつけるクラスメートたち。その男の子を円陣で囲んでみんなで肩を組み、大きな声を合わせて元気にエールを送る。
 
「できる! できる! できる!」
 
 円陣が解かれると男の子はスタートラインに戻った。一呼吸おいて、跳び箱に向かって走りはじめる。何回目の挑戦だろうか。周りからたくさんのエールをもらった彼は、「どこにそんな瞬発力とバネがあったの?」と聞きたくなるくらいの跳躍を見せ、化け物のような障害物を見事に跳びきった。会場には割れんばかりの歓声が起きる。
 
 これは僕がYouTubeでたまたま見た動画だ。「感動 跳び箱」で検索すれば出てくるはずだ。この動画は、僕たち男がどこか忘れかけている大切なことを思い出させてくれる。
 
 過去に死に物狂いでがんばった経験のある人や、お子さんのいる親御さんであれば、確実にうるっとこみ上げてくるものがあるはずなので、職場や電車などの公共機関の中での閲覧はご注意いただきたい。
 

 
 最近、生き方論の中で、勝敗やルールを避ける選択肢が増えている。
 
「やりたいことだけをやれ」「逃げてもいい」「人生はラクをしたもの勝ち」といった類のものだ。それに安易に飛びつく人も問題だが、発信者はもっと問題だ。
 
 そのようなロジックは社会のルールを完全に無視している。
 困難から逃げ、好きなことだけをする。
 じゃあ、どうやって? 誰かに保護してもらい続けるのか?
 その分の足りない税金は誰が払うんだ?
 残されたやりたくないことは誰がやるんだ?
 
 これは言ってみればロールプレイングゲームで裏技を使って、いきなり所持金MAXからはじめるようなもの。そんなゲームの何が面白い。いい加減、そんな無責任な世界に逃げ込むのはやめたほうがいい。
 
 あたりまえだが、がんばることは辛さを伴う。できることならやりたくないし、逃げたい。しかし、同時に人はがんばることでしか成長できないことを、いい男は知っている。そして、そうやってがんばっている姿が人を感動させることも。
 
 それにその動画にあった「できる!」という励ましの言葉の力。「できる」と信じた人間の驚異的なポテンシャル。人間に与えられたこれだけ美しい試練を否定するとは、その人たちは、いったいどこに向かっていくつもりなのか。
 
 一部の人たちの都合のいい言い訳に合わせて、日本の先人が一番大切にしてきた「がんばる」という言葉に宿った美徳を消し去ってはいけない。
 
 これだけ平和で、食べるものに事欠かない豊かな日本で、これ以上癒しを求めたら、絶対に男はダメになる。きつさから逃げても永遠に結果は出ない。結局は、男に生まれた限り、がんばることしか選択肢はないのだ。
 
 いい男はチャレンジから逃げない。たとえそのために何度悔し涙を流したとしても。
 

一流の男は、何度挫折しようとも、諦めることなく、果敢に挑戦し続ける気概を持っている。

 

(ながまつ しげひさ)

 
 
【ながまつしげひさ】
1974年、大分県生まれ。
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。
「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」をコンセプトにしたユニークな人材育成には定評があり、全国各地で数多くの講演、セミナーを実施。
「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演累積動員数は延べ30万人にのぼる。
2016年より拠点を東京に移し、経営、執筆、講演だけでなく、人材育成、出版プロデュース、イベント主催、映像編集、コンサルティングなどもてがける。
著書に『成功の条件』(きずな出版)、『一流になる男、その他大勢で終わる男』(きずな出版)など多数。