Wa-luck(ワラック)

2019.9.11
子育て

見えない敵と戦っている(さんさい・男の子は異星人 -vol.2-)

さんさい少年会男の子は異星人

第二回 見えない敵と戦っている

 

息子は戦っていませんか?
いつも、何か見えない敵と。
 

「ヤァー」「とぅー」「えいっ!」と、勇ましい掛け声とともに、誰もいない何もない、空に向かって拳を突き上げ、キックを繰り出し、そして飛び跳ね、転げ回ります。なぜかしばらくそれが続きます。当然服は汚れていますし、草やなんかいろいろなものがそこら中にくっ付いています。
そして最後には「うっぅぅぅ」と言って、バタンと倒れたりします。またある日は「タァー!」と言って、右手を高く空に掲げ、決めのポーズのまま、天を見つめていたりします。親としてはとてもとても心配になりますね。
 

 

「この子は大丈夫か?」「一体何が見えているの か?」まあ当然の思いです。
 
けれど大丈夫です。多くの男の子たちはこの道を通っていきますから。お母さんには何も見えないと思いますが、彼らにはちゃんと見えています。いろいろなものが。それは時には、怪獣であったり、悪の手先であったり、姫を奪う悪者だったりします。相手もいろいろとあるのです。また空から飛んできたり、地底から突然現れたり、草の陰や木の上から落ちてきたりと、手を替え品を替えて次々と息子たちに襲い掛かるのです。ねっ、男の子って大変でしょう。
 

 
男の子の特性の一つは「ドリーマー」ということです。いつも夢を見続けています。実社会と夢の世界がごっちゃになっています。それが一つの世界なのです。もちろん自分だけのオリジナルの 世界です。そしてそこでは自分はヒーローであり、また勇者や正義の味方なんです。また自分の好きなものや、なりたいもの、何にでも変身することができて、誰にも邪魔されない絶対的な存在になっています。すごく楽しいのです。自分の世界の中心であり、王様なのですから。
 
このような自分だけの世界を持ち、そこに自由に行ったり来たりすることで、彼らは自分を作り上げていきます。もちろん実社会ではそんなことはできないのですが、自分のオリジナルの世界において心を満足させて、また実社会で頑張って活動ができるのです。三、四歳ごろからこれらは見られますが、結構長く続きますね。思春期あたりでも自分の世界に浸っている場合も見られます。最近は大人でもいますからね。このこと自体は決してダメなことではないです。成長の過程で必要な体験であり、子供らしさの一つの表れだと言えます。
 

 
だからお母さんは温かく見守ってあげてほしいです。気持ち的には「彼らが何か見えない敵と戦ってくれているおかげでこの世界は平和なんだ!」ぐらいの大きな心で受け止めてあげてほしいです。だって決めのポーズをしているときの、息子の目を見てほしいと思います。本気ですからね。遊びの目じゃないです。男の子の子育て、たまらなく大笑いできる瞬間です。
 
「今日も世界を守ってくれて、ありがとう! 戦士の皆さん!」

 
 
小﨑恭弘 プロフィール
こざきやすひろ/1968年、兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部准教授。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。12年間、兵庫県西宮市公立保育所初の男性保育士として子供たちと向き合う。NHKEテレ『すくすく子育て』他、テレビや新聞、雑誌等でも活躍中。