Wa-luck(ワラック)

2019.10.4
信仰エッセイ

ワイワイたすけ合い 「2.かしものかりもの からだは心の最高の相棒」(With you)

With you婦人会ワイワイたすけ合い

ワイワイたすけ合い

2.かしものかりもの
からだは心の最高の相棒

 

(1)ジキル博士とハイド氏

 
 スチーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』という小説があります。善良な紳士ジキル博士が、発明した薬を飲むことにより、自分の醜悪な面を凝縮した、悪人ハイド氏に変身するというお話です。その変身シーンともいえるような情景を、私はかつて大学病院の救急部で見たことがあります。
 
それは立派な紳士が交通事故に遭われ、意識不明で運び込まれてきた時のことでした。幸い、CT検査等で頭に異常がなく、足の骨折と内臓打撲だけでした。ところが、その人が意識を取り戻すにしたがって、ご家族も聞いたことがないような罵詈雑言(ばりぞうごん)を周囲に浴びせるようになったのです。それどころか、傍によれば、殴る、唾を吐く、水枕を投げつけるという行動が数日間続いたのです。頭の打ち所でも悪かったのか、と周りが悩んでいたある日、主治医がその人の血液データをしみじみ見ていて、ある微量の元素の値が正常値からほんの少しずれているのを見つけて、点滴の中身を少し替えてその補正をしたのです。するとその日を境に、患者さんの様子が穏やかに理性的になっていったのです。あたかもハイド氏からジキル博士への変身を目(ま)の当たりにしたような感じで、最後は「お世話になりました」と別人のようになり、転院していかれました。
 
 主治医は「治療は複合的に行われているので、微量元素の補正だけが精神状態の安定に効果があったとは言い切れないが、からだを少しでもよい状態へ持っていくことは回復のために大切だ」と言い、微量元素の乱れの原因を聞くと「点滴を沢山したことで偏ってしまったのかもしれないし、事故によるからだのストレス反応で起こったのかもしれないし、元々事故前のハードな生活等で引き起こされていたのかもしれない」と言っていました。
 
 その時新米看護師だった私は、「もしも、こんな小さな乱れが人を豹変させてしまうなら、自分のからだに摂取するものは慎重に選ばないといけない」と、つくづく思ったのでした。皆さんも、酔っ払ったり、疲れていたり、頭痛や空腹や便秘の時は、優しく冷静な「よい自分」でいるのがむずかしいという経験がありませんか? もしかすると、いつも心穏やかで理性的な判断ができる人は、からだの中のバランスが取れている人なのかもしれず、訳もなくイライラしたり落ち込みやすくなる人は、からだの調子がそうさせているのかもしれません。自分がハイド氏に変身しないように体調には気をつけましょう。
 

 

(2)からだは心の最高の相棒

 ところで、私は、からだは一番身近な心の味方で、心がよい状態でいられるように精一杯フォローしてくれている「相棒」だと思っています。この世の中でどんなに独りぼっちになった時でも、からだは死ぬまで、私の心と一緒にいてくれています。たいして大切にしてあげてもいないのに、昨日の疲れが朝には軽くなっている時など、私の決して強くない心を、からだが「頑張って!」と支えてくれているように感じます。逆にからだが弱っている時、心だけでも明るくたもつように努力して、思い当たるほこりの心があるなら払う努力をして、からだに恩返ししなくてはと思います。心が頑張れば、からだの免疫力が高まって、悪いようには絶対ならないと思います。
 
 心が辛い時、辛さのあまり食欲が無くなったり眠れなくなったりしますよね。でも食べない、寝ないでは、体調も物事もどんどん悪くなるばかりですから、人生のピンチの時ほど、バランスよく何か口に入れて、のろのろでもよいから昼間は少しでも役に立つことをして、夜は音や光を少な目にして、リラックスを心がけましょう。
 
 親神様は、闇中は声を頼りについてこい、成る程という日の来るほどに、とおっしゃったといいます。親の声、教えを求めましょう。そうすれば、からだから心へ、少しでも元気なパワーが送ってもらえます。すると心に勇気や妙案が湧いてくるかもしれませんよ。
 
 

(3)栄養士さんのはなし

 それからこんな話もあるのです。数年前テレビで、(当時の)福山市立女子短期大学教授・鈴木雅子さんが、食事内容ときれる子どもの関係を話していました。
 
 それによると、食事の内容が悪い生徒ほど、「イライラする」「すぐカッとする」「いじめている」割合が高くなっていました。悪い食事例とは、朝食抜き、昼は菓子パンと炭酸ジュース、部活後はカップラーメンとアイスキャンディー、夕食時は好きなおかずのつまみ食い、夜食にはスナック菓子、というのが典型例。砂糖の摂取が多く、ミネラル、ビタミンが足りない食事だったのです。
 
 またビタミンB群やミネラルの一種のカルシウムは、イライラを収めるのに効果的なのですが、それが足りていないのでイライラするのかもしれません。また、砂糖の摂りすぎはからだを酸性に傾かせてしまうので、それを中和するのにアルカリ性のカルシウムがさらに使われ、減ってしまうそうです。さらに、砂糖は単純なつくりなので吸収が早く、血糖値を一気に高くするので、インシュリンがすぐ分泌されて低血糖になりやすく、低血糖は、脳の栄養失調となり、またまたイライラしやすくなるのだそうです。もっとゆっくり吸収されるでんぷんのご飯の方が適当なのです。また、絶食に近いダイエットと、その反動による砂糖の摂取も、同じ原理でよくないようです。しかし砂糖もつねに悪者というわけではなく、食事に楽しみを与えますが、大人は一日五十グラム(大さじ五杯分)以下に抑えた方がよいそうです。
 
 人間が健康に生きていくために、外国ではHOW TO EAT―いかに食べるべきか―という教育がされていて、日本でも必要だと話していました。将来、子ども達が「え~と、緑黄色野菜が足りてないから、野菜ジュース飲んでおこう!」と言う日が来たら頼もしいと思います。それまでは、まず大人が学び、子ども達の食事を整えてあげなくては、と思います。きれてしまう自分に戸惑っているのは子ども達自身ですから。
 
 今の日本人は、一日に必要な食品と比較すると、砂糖・塩・油・肉を減らし、緑黄色野菜やミネラルを含む食品(ゴマ、豆類、海草類、椎茸類、干果物)や青魚、小魚を食べる機会を増やすとよいようです。自分の食事を書きだしてみて、必要な食品と比べてみましょう。それから、コーヒーや煙草などは脳をしめつけて一時的にパワーを引き出す物です。お酒は脳をゆるめて一時的なパワーを引き出す物です。どちらも、一時的ピンチを乗り越えるのに一見よさそうですが、過ぎればからだが悲鳴を上げます。人それぞれストレスの大きさも違うと思いますが、できるだけ避けましょう。
 
 そしてできるだけよい食事に近付ける努力をすることにより、親神様からお借りしているからだの寿命も延びるかと思いますし、仮に寿命を延ばせるまではいかないにしても、少しでも「ベストな自分」で過ごせる時間が多いほうが、人生をよりよく生きることができるのではないかと思います。
 

 

(4)生物の授業より

 皆さんも生物の時間に習われたでしょうが、私達のからだを作っている細胞は常に新しく作られています。私達が食べた物はとても細かく分解され、一人ひとり違う遺伝情報を元に並べ替えられ、その人の細胞となります。豚肉や魚を食べても、人間の蛋白質に組み替えられるのみならず、その人固有の遺伝子を持つ細胞の塊になるのです。
 
 それはたとえば、色の違うレンガを材料に、その人固有の設計図に基づき家を組み立てているのに似ています。細胞の中には寿命が来て死んでしまう細胞もあるので、あちこち補修しなければなりません。そしてそれは二十四時間休みなく行われています。もしもここに、一日に必要な食品をちゃんと摂っている人がいたとしても、Aさんは、朝は炭水化物ばかり、昼は蛋白質ばかり、夕は野菜ばかりというように食べ、Bさんは、三食とも三分の一ずつ食べるとしたら、Bさんの方が、細胞づくりの材料がいつも不足しないでよいと思いませんか? 朝は炭水化物ばかりだったから昼に蛋白質を摂ろうと思っていて忘れてしまうこともありますよね。そういうことがつもりつもって、からだ全体がお菓子でできているようなお菓子人間より、自然界の様々な食品がバランスよく組み合わされてできている、自然凝縮人間の方が丈夫だと思いませんか?
 
 親神様は実の神として、今も私達のからだの中でお働き下さっているのです。お働き頂きやすくするためにも食事の摂り方は大切です。
 

 

(5)「成人する」ための情報の摂り方、体験の仕方

 人のからだが、食物を原料にできているように、その人の価値観やアイデンティティーや人間性などは、生まれてから接した情報(親、兄弟、友人、教師などの言動、本、新聞、テレビ、インターネットなどからの情報)を自分がどう解釈、吸収し、同化したかに大きな影響を受けます。情報も選択できるものは、なるべくよい情報に接するようにしましょう。犯罪のニュースを繰り返し見るとか、人の悪意を煽(あお)るような情報に、若く柔軟な心がさらされるのは、子どもが酒や煙草を吸うように心の毒となるように思います。情報化社会は毒にも接しやすいので要注意です。しかし、人生経験を積んだ大人になれば、毒も薄めれば薬になることがあるように、人の悪意から学ぶことも多いかと思います。反面教師としての吸収の仕方もあるでしょう。
 
 また、情報過多は過食のように害にもなり得ます。情報の渦に飲み込まれると煽られて、自分を見失う危険性があります。人間には無情報の時間、座禅のような静寂や自省の時間や睡眠が、鎮めとして必要だと思います。意図的な情報のシャットダウンも時に必要でしょう。情報の意図的調整も必要です。
 
 例としては、一方の意見ばかり聞かずに、両者の言い分を聞くとか、情報提供者のスポンサーや意図を知る、物事を多角的に捉えるといったことです。目耳からの情報と、匂い味わい体感経験のバランスも大切です。自分の人生だけでは体験できないようなことを教えてくれる情報に敬意を払いつつも、情報を得てすべてわかったつもりにならず、実体験を積むようにしましょう。HOW TO EATと同じように、自分を形成するために情報、体験といかに付き合うかという教育も大切でしょう。
 
 私は今世、天理教という教えを「くハしく(おふでさき第一号5)」聞く機会があり、お道の話を心の成人のためのすばらしい原料とさせて頂ける身を本当に有難いと思っています。これもひとえににをいがけ・おたすけして頂いた先人のお陰であり、私の心に、私の境遇をも含めた「からだ」をお貸し頂いた親神様のお陰だと思っています。今世、できるだけ大切に使わせて頂き長生きをして、まだ天理教のことを「詳しく聞く」機会に恵まれていない多くの人に、他の情報に埋もれないようにお伝えしたいと思っています。
 

「2.からだは心の最高の相棒」――おわり――

 
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ワイワイたすけ合い 「1.地と天 一夫一婦は古いですか?」