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2019.11.22
カルチャー

AI時代の”心の拠り所”は-片山恭一氏トークショー第2弾-

天理時報道友社片山恭一

道友社(松村義司社長)は10月27日、「WAY書店TSUTAYA天理店」のイベントスペースを利用して、『世界の中心で、愛をさけぶ』の著者として知られる作家・片山恭一氏によるトークショーの第2弾「AI時代に山の辺の道を歩く」を開催。当日は市民や並河健・天理市長に加え、秋季大祭に合わせて帰参した人などが集まった。

今年5月に行われた最初のトークショーでは、「すきっと」のシリーズ連載で山の辺の道を歩いた片山氏が、その現代的価値や魅力などについて話した。
今回のトークショーは、前回の好評を受けて企画されたもの。新著『世界の中心でAIをさけぶ』の中でAI(人工知能)が人間を超えたときの人間存在の意味を問うた片山氏が、AI時代に身の周りに起こるさまざまな変化を踏まえ、その中であらためて、太古からある山の辺の道を歩く意味について語った。
片山氏は冒頭、AIを駆使した技術が身の周りに溢れているとして、スマートフォンのカメラに内蔵されているピントや絞りなどを自動調整するAIや、医療現場で膨大なデータを分析する診断のAI化などを紹介した。
また、購入履歴から利用者一人ひとりの好みを分析する、大手インターネット通販サイトのレコメンド機能を例に挙げ、「今後さらに技術が進むと、学歴や職歴、病歴などの個人情報を蓄積したデータに基づき、人間が信用スコアのような数字で表現されるようになるのではないか。すると家族や本人よりも、AIが自分自身のことを詳しく知るようになる」「自分たちが当たり前だと思っていた生活スタイルや人生観が大きく変化する可能性も出てくる」と述べた。
こうしたなか、国内各地の古代の街道のほとんどが宅地開発などで消えているが、山の辺の道は千数百年以上続いており、ほとんど当時の形を保っていると指摘。そのうえで「昔の人が見たり感じたりしたことを、実際に歩くことで体験できる。その際に感じた懐かしさ、今も昔も変わらないという気づきが、AI時代において自分自身を保ち続ける心の拠り所の一つになるのではないか」と語った。
最後に、片山氏は「当時の人々と同じ視点で歩くことで、自分自身の心の幅が広がり、毎日の暮らしを新しい視点で再発見することにつながっていく」と話した。



講演後は、片山氏のサイン会も行われた。
秋季大祭に合わせて帰参した田丸住子さん(65歳・愛照分教会教人・埼玉県草加市)は「元々AI社会がどのようなものなのか興味があった。今後AI化が一層進む中で、何を心の支えに生きていけばいいのか、ヒントを得ることができた」と感想を話していた。

天理時報2019年11月17日号掲載