Wa-luck(ワラック)

2020.4.4
子育て 未登録

男の子は異星人 -vol.6-「じっとできない」

さんさい少年会男の子は異星人

第六回 じっとできない

街中でピョンピョンと跳ねているもの、時々見掛けませんか? バッタでも、カエルでもなく、男の子です。それもとても不規則に、そしていびつな感じで、一人で続けています。不思議な光景です。
近くに寄ってみると、落ち葉だけを踏んで歩いていたり、道路のマンホールや白線だけを通り歩いています。もちろんそんな都合よく、いろいろなものがあるわけではないので、どうしても無理なジャンプや、時として予想外の方向に飛んだりしています。見ていてもさっぱり、その意図が分かりません。
これは「地面に着いたら死んでしまうゲーム」の最中です。必ずやります。男子は。周りから見ていると何をしているのやら、またどんなルールや条件で遊んでいるのかは、全くもって分かりません。しかし、男の子たちの目前には、大海原や大河が横たわっており、自分たちは船の上や断崖絶壁の細い道や飛び石を渡っているのです。本気でそう思っていますから。まさかそんなー、と思うならその途中でチョンと彼らをつついて、その道から外れるようにしてください。本気で怒りだすか、あるいは死んでしまいますから。「お母さん! そんなことしたらワニに食べられるやん!」「海に落ちたらどうするの!」と猛抗議を受けることになるでしょう。男の子にとって、それらは遊びではないのです。本気ですから。
男の子たちがじっとできない理由が分かりましたか? 簡単に言ってしまうと、お母さんと息子は同じ空間にいても、見えているものや感じているものが全く違うのです。お母さんには横断歩道にしか見えないものが、彼らには悪者の作った迷路に見えるのです。それをうまく乗り越えないと、この世界が救えないのです。もうじっとなんかしてられません。世界の平和が懸かっているのですから。
「大人には見えないものが見える」という考え方もできますが、別の視点では「子供に見えているものが大人に見えない」ということでもあります。 じっとしてほしいタイミングや思いは、私も大人としてよく分かりますし、時として、とても大切なことです。しかし大人と子供、お母さんと息子はそれぞれ違う世界を生きています。
いつもとは言いませんが、時々彼らの世界をのぞいてみませんか? じっとしなくていいときに、目いっぱい一緒に遊んだり、男の子の世界を教えてもらったりして、一緒に悪の軍団を倒して、大海原の迷路に紛れ込んで、ピョンピョン跳ねながら歩きましょう。

小﨑恭弘 プロフィール
こざきやすひろ/1968年、兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部准教授。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。12年間、兵庫県西宮市公立保育所初の男性保育士として子供たちと向き合う。NHKEテレ『すくすく子育て』他、テレビや新聞、雑誌等でも活躍中。